臨床真理 [書籍]

頑張ってタイトルにある本の詳細を書いていたら、時間超過で全部パーになった癲狂院幻蟇です……(軽く泣きたい)


臨床真理 (上) (宝島社文庫 C ゆ 1-1)

臨床真理 (上) (宝島社文庫 C ゆ 1-1)

  • 作者: 柚月 裕子
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2010/03/05
  • メディア: 文庫


臨床真理 (下) (宝島社文庫 C ゆ 1-2)

臨床真理 (下) (宝島社文庫 C ゆ 1-2)

  • 作者: 柚月 裕子
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2010/03/05
  • メディア: 文庫


大学のマスコミ就職を目指すゼミの課題で「このミステリーがすごい!」大賞を比較考察することになり、タイトルに惹かれて読み始めました。

臨床心理士の佐久間美帆は、勤務先の医療機関で藤木司という二十歳の青年を担当し、カウンセリングを行うことになった。司は、同じ福祉施設で暮らしていた少女の自殺を受け入れることができず、なかなか心を開こうとしなかった。それでも根気強く向き合おうとする美帆に、司は少女の死は他殺だったと必死に訴えた……。(上巻背表紙より引用)

真実を話していると白、嘘をついていると赤……美帆の受け持った患者・司は共感覚によって声に色彩を感じるため、嘘を見破ることができた。彼は少女が自殺するはずがないとる力説。信じがたい話であったが、美帆は司のためにも、調査を決意。かつての同級生で知人の警察官・栗原の協力を得て2人が暮らした福祉施設を探り始めるが、調査が進むにつれ、おぞましい出来事が明らかになる!(下巻背表紙より引用)


同時受賞した作品もあるため、一応その作品のタグもつけておきます。

(携帯は下記より、PCは追記よりネタバレ、要注意)

読了後確認しいしいのため、多少の相違があります。悪しからず。(読了前提で書いているため、解説は不明瞭)




この作品のテーマを単語で表すなら「障害者」「性欲」「狂気」の三つが適当かと。

結末を言うと、水野彩を死に追いやった犯人は佐久間美帆の上司の精神科医・高城。知的障害者入所更生施設「至誠学園」施設長・安藤は、学園からの就職者数を増やすために、園の少女を障害者就労援助センター人材派遣部長・西澤に提供していた。その弱みを握った高城が、以前から恋焦がれていた彩を手に入れるべく脅迫、見返りに学園の障害者ランクを操作すると言い承諾させた。(彼女を適応障害と診断したのも、彩の側にいたかったから)そして彼女の言語失調が回復の兆しを見せ、園を出て行こうとしていることを知ると、自身の保身のために(泣く泣く)自殺に見せかけて殺害。彩がリストカット常習者(原因をつくったのは彼)であること、医学知識、師走時の渋滞等々全て計算されたものだった。

高城は幼少時の経験から、社会的弱者(障害者または精神病患者)にしか欲情しなくなっていた。当初はその原理を解明しようとしたが、ついには性癖は嗜好と同じでどうすることもできない、と諦めて(開き直って)しまった。それでいてトテモ説得力がある。

最後は自身の正体を知った美帆に亡き彩の姿を重ねて、ひと悶着(内容は言わずもがな……)を演じた後、駆けつけた栗原に逮捕されるという終末。


これは好き嫌いがハッキリ分かれる作風ですね。
たとえば共感覚により、声に色彩を感じる少年・藤木司。医学的にまだ解らない非科学的要素を取り入れている、つまりファンタジー的要素が加わってくる。(全面的ではないからさほど感じないだろうが)
それと主人公の視点に重きが置かれているためか、独善的に話が展開している感がある。時折司や同級生の栗原の視点もあるがいかんせん薄い。

火曜サスペンスや土曜ワイド劇場のようなアリバイとかトリックとか本格ミステリーものを期待する人には好まれないのかもしれない。(何故疑問形かって?それは自分がミステリー小説の教養が乏しいからさ(笑))

どちらかというとアンチミステリー(っていうの?)好みの作品じゃないかと自分は思いました。
上述のように、アリバイやトリックよりも犯人が凶行に及んだ経緯や、その思考に至る心理的描写、社会の裏面に重点が置かれているからだ。(自分がリスペクトする夢野久作もその類だと思っている)
別に読んでいる途中で犯人や真相が読めようがお構いなし。要は、そこに至る狂気を描ければイイのだから。


そして自分が本作で最も評価したいのが、「障害者の性」という重いテーマからの、終盤の眼を背けたくなるようなエグい描写(さっきの「ひと悶着」ね(笑))

ナニがイイって……?横文字を使っていない所さ♪←メートル上昇中
自分には「性的表現は漢字を使った方が上品だ」という持論があり、カタカナまみれ(擬音含め)は卑猥だと常々感じています。
作者にも同じこだわりがあるのか、性的な表現は自分が記憶する限り漢字ばかりでした。そのおかげでかなり楽しめました^^


未読者にはカナリ不親切な内容でしたがいかがでしたか?
後で「もし映像化するなら……」と自分が妄想したキャスティングでもUPしてみようかな?
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